センター化学

傾向

 問題の内容は大問4つから構成されており、1.物質の性質や構成、2.理論(酸・塩基や熱化学)、3.無機化学、4.有機化 学、となっています。他の理科科目に比べると、安定して満点近くを取り続けられる科目です。センター化学の計算問題は毎 年代わり映えのない顔ぶればかりが出題されます。しかし密度と濃度が絡んでくる問題などパターン暗記だけだと混乱しがち な問題もあるので、しっかりと理論を理解しましょう。計算問題と常識的な知識問題だけ取れれば、配点的に8割近くは固い はずです。
 2008年のセンター化学は、ヘリウム原子の直径など満点を取れなくする問題があったことや、有機化学の大問にてベンゼン 環などの基本的な分野からではなく現役生が手を抜きやすいセッケンや高級脂肪酸、重合などの分野から多く出題されたので 、若干難しく感じましたが9割は十分にとれる内容でした。

対策

 計算問題では単位をうまく使いましょう。
 知識問題の対策には、『化学T・Uの新研究』などで普段から興味を持ったものを調べておくといいと思います。アスベスト の構造式なんかもなかなか面白いですよ。

<物質の性質や構成>
 このセクションは、H,He,Li,Be,B,C,N,O,F,Ne・・・・が書けて、アルカリ金属・アルカリ土類金属・重金属・常温で気体 ・常温で液体…etcなど頻出事項を覚えていれば満点を取ることは簡単でしょう。ただ2008年のヘリウム原子の直径を問う問 題のように、「知ってればできる、知らなければできない」という完璧な知識問題もでるセクションなので時には諦める勇気も 必要になってきます。計算問題を確実に取るために時間を無駄にしないようにしましょう。

<理論(酸・塩基や熱化学)>
 このセクションは点の取りどころです。知識問題に関しては、知らなくてもその場で頭を動かせばどうにかなるものばかり です。計算問題に関しては、一行計算さえ身につけていれば、ほとんど計算ミスの心配もなく時間もそれほど取られずに満点 をとれるはずです。センター化学で時間が足りないという人はここが出来ていない、または演習不足で解答速度が遅いという 人がほとんどです。

<無機化学>
 ひたすら覚えましょう。これに限ります。このセクションは、知識問題も計算問題も、知らなければ手も足も出ません。物 質ごとにちゃんと特徴があるので体系的に覚えていけばそれほど時間はかからないはずです。直前期に対策して得点アップを 図るとしたら、このセクションの知識の詰め込みでしょう。

<有機化学>
 簡単な前半の方は、物質同士の家系図的なものを書いて「何がとれて何がくっつくのか」といったことをまとめてみましょう 。この基礎を固めておくと、複雑な構造決定の問題なども解きやすくなります。またアルコールやアルデヒド、ベンゼン環な ど、いくつか特徴があるものは正確に覚えておきましょう。エーテル、エステルなんかは名前が似ているので読み違えたりし て覚えてしまっても大打撃をうけてしまいます。
 後半の複雑な分野に関しては、ステアリン酸。オレイン酸など代表的なものは必ず押さえておきましょう。また化学Uの導 入部分のような、ポリエステル・ポリエチレンテレフタラートなどの辺りも手を抜かないでやっておいた方が無難です。

おすすめ参考書

・「解決!センター化学」(Z会出版)
 センター化学に関しては、これ以上の名著は存在しません。このシリーズの他教科のものは分かりませんが、化学に関して は右に並ぶものはありません。
 センター1日目終了後に全部写経のように書き写したのですが、この本のおかげで上で挙げたヘリウムの問題やポリエステ ルなどに絡んだ正誤問題も含め、難問をすべて正解することができました。またこの参考書特有の『1行計算』というテクニ ックはかなり時間を短縮できる上に、計算過程が簡潔なので計算ミスも起こりにくいという、優れものです。参考書として知 識が詰まっているだけでなく、問題集としての側面もあり、一冊通してやればセンター化学で出題される問題の形式のほとん どのパターンに触れることができます。やってみて絶対損はありません。
 傾向云々の前にこの本をお試しあれ。

・「カラーの資料集」(各出版社)
 これといって出版社にこだわりはないのですが、カラーであることは大変重要です。特に無機化学の分野は暗記一辺倒の単 純な勉強になりがちですが、資料集を使うことで楽しくなります。黄褐色と赤褐色、濃青色と深青色など言葉だけでは違いが 分かりにくいものも一目瞭然なので暗記の手助けになります。ゴム状硫黄と斜方硫黄など、同じ原子からできているにもかか わらず、ほんの少し生成される過程が違うだけで信じられないほど見た目に違いがあるものは、資料集があれば驚きとともに 楽しく覚えられます。近年進学校では受験用の勉強を優先し、実験をあまり行わないようになってきているようなので、実際 の色の変化やその美しさを知らないまま化学を勉強してしまうのは大変もったいないです。
 血赤色をその目で確認したことがありますか…?

・「点数が面白いほどとれる本」(中経出版)
 文体も読みやすいものでイラストも多く、息抜きがてら勉強もでき、良い本だと思います。インプット・アウトプットしや すい考え方も載っているので頭に入りやすいでしょう。ただ、情報量が少なく、0から始めた人はグンと成績が伸びるかもし れませんが、100点を狙えるかというと難しいと思います。入門書としては素晴らしい一冊です。

・「化学TU重要問題集」(数研出版)
 僕はもともと理系なので2次向けの参考書として手を出したのですが、この参考書は本当によくできていて、化学を本質的に 理解する手助けとなります。Tの範囲だけなら余裕があればやってみるといいと思います。

・「化学T・Uの新研究」(三省堂)
 困ったら引いてみる、いわば辞書的な存在です。何でも詳しく説明してくれます。大変便利なのでお試しあれ。

最後にひとこと

 僕は化学が楽しくて楽しくて仕方ありませんでした。記憶するのはただの単純作業なのですが、液体同士を混ぜると沈殿 したり色が変化したり急に匂いを発したり、炎の色が緑だったり紫だったり・・・まるで魔法みたいじゃないですか?こんな 魔法を理論的に理解するために記憶するのは、僕にとっては全く苦痛な作業ではありませんでした。みなさんも化学を楽しん でください。受験化学を勉強してるのではなく、ホグ○―ツで魔法を勉強してるんだと思って頑張ってください。

○この記事を書いたのは・・・
広報ちーふ(商・公立・男。受験に必要なものは「ドラゴンボール」。)