センター物理

傾向

 大問4題で、1.小門集合、2.生活電気、3.波動、4.運動とエネルギー、からなっており解答時間は60分です。
 問題数が少ないために1問あたりの配点が大変大きく、また前後の問題が関連していることほとんどなのでちょっとした ミスで大きく点を落としがちです。しかし、問題のレベルはかなり低く、他の理科系科目に比べると勉強時間が少なくて も満点が簡単に取れる科目でもあります。
 出題形式のバリエーションが少なく、パターン慣れするだけである程度の高得点が狙えます。ただ、文字式の計算など 煩雑な問題が多く、数学が苦手な人や物理を生理的に受け付けない人にとっては辛い勉強になるのでお勧めしません。逆に 、「数学が大好きだ、地道な計算が大好きだ」という人は、時間も節約できるし高得点も狙いやすいのでやってみるといいか もしれません。

対策

 上にも記したように、センター物理では難問はほとんど出題されることはありません。だから対策というと、その中心 は基本的な公式の理解にあると思います。その理解をもとに解答の方針が立てられれば、あとは難しいことは何もないはず です。
 まず1つ目のポイントは、公式を覚えてから使えるようになるまでに時間がかかると意識することです。サッカー初心者が ボールの蹴り型を学んだとしても、サッカー経験者のようにうまくは蹴ることができないのと同じです。数多くの問題を演 習し、『公式をうまく使って解く』という感覚を身につけて下さい。
 2つ目のポイントは、この“うまく使って解く”ということです。例えば、力学の分野からの問題で、運動方程式を使って も解けるが計算が複雑になる場合には視点を変えてエネルギーの視点から見る、というようなことです。計算を単純にすれば 、解答時間を短くできるだけでなく計算ミスも少なくて済むはずです。問題演習の中でもこれを意識してやっていくと、答 えに一番近いルートをすぐに選べるようになるでしょう。
 3つ目のポイントは、余裕のある方だけで結構ですが、物理Uに関しても少し触れておくということです。物理Uは、他の 理科系科目のUに比べ、それほど考え方やレベルがかけ離れているわけではありません。多少知識をもっておくと、Tの分 野にも応用できるものがあるので役に立つこともあります。
 以上3点を挙げましたが、力学に関してはこれに加え『矢印』をうまく書くことが大切です。題意の整理・視覚化に よって問題がはるかに解きやすくなります。徹底してやるようにしましょう。

おすすめ参考書

・「橋元淳一郎の物理橋元流解法の大原則1・2」(大学受験V BOOKS)
 波動・電気以外に関しては入門書として最高の一冊です。波動・電気では教科書や他の参考書を使うようにすれば、これだ けでもセンターレベルなら十分に戦えるようになるでしょう。読みやすく理解しやすいので、一冊を仕上げるまであまり時間 がかからないのでコストパフォーマンスが高くお勧めです。

・「物理のエッセンス―力学・波動/―電磁気・熱・原子」(河合塾SERIES)
 各セクションごとに簡単な導入もついている問題集。力学・波動で一冊、熱・原子で一冊というようにまとめられています 。受験物理界ではかなり定評のある一冊のようです。問題数が多く解答があっさりしているため理解まで多少時間はかかりま すが、これをしっかりやりこめばセンター物理100点は約束されたようなものでしょう。ただ、教科書に載っている基本的な 事項(公式の証明など)は省かれることが多く、問題はスラスラ解けるようになるもののこれだけやっているのでは本質的な理 解は難しいんじゃないかと思います。なのであくまで教科書と“併用”という形で使うのがお勧めです。理解がいらない、と いう方はこれ一冊(2冊?)でもかまいません。

・「マーク式基礎問題集」(河合出版)
 これは上の2冊(4冊?)の参考書とは違い、センターや私大で出題されたマーク式の過去問で構成されている問題集です。 マーク慣れに数をこなすにはお勧めです。私大理系のマーク問題が混ざっているので効率の面では実際のところ、いいのか悪 いのかよくわかりません。

・「大手予備校のセンター予想問題集」
 駿台(青)、河合塾(黒)、Z会(緑)、代ゼミ(白)の順にお勧めです。これは過去のマーク式模試を編集したもので、過去問に準 拠して作られているので教育課程が変わって間もない物理の経験値をためるには、これらをこなすことが一番じゃないか、と 僕は思います。いまはあるか分かりませんが、旺文社のものは少し性質が違うので、僕はお勧めしません。

・「名門の森 物理」(河合塾SERIES)
 一橋大志望以外の方もご覧になっているという前提で紹介します。センターを少し超えて、2次(中〜難関)程度までに対応し た参考書です。詳しくは紹介しませんが、物理が好きで仕方ない!センターレベルじゃもの足りない!っていう方は文系でも 楽しめる一冊です。

最後にひとこと

 物理は問題が解けるようになってくると本当に楽しい科目です。
 本番で公式を一部だけ忘れたり、解答の方針が立たなかったり、または題意がつかめなかったり…などなど、困ったときは 『単位』に注目してみましょう。単位だけで推測しながら動かしていって、最終的に残したい単位まで計算過程を作ることが できればセンターなら8割がた解けたようなものです。裏ワザ的なものなので、100%うまくはいきませんが、何もマークしな いよりは可能性をかなり高められるので本番ではぜひお試しください。実際2008年度のセンターでもこれで解いた問題があり ました。

○この記事を書いたのは・・・
広報ちーふ(商・公立・男。受験に必要なものは「孤独」。)