一橋日本史

傾向

 一橋大学の日本史はすべて論述問題です。大問3問で構成されており、時間は120分です。どの大問にも小問が3〜4問あり、 大問1題につき制限字数が400字となっています。他大学と違って小問ごとに字数が制限されていないので、どの小問に字数を多く (少なく)配分するかは個人の判断に任されています。
 問題は大問ごとに問題文や資料があり、小問で、その文中の下線部の内容について記述(下線部の出来事が起きた背景を答えさせ たり、下線部の出来事による影響や変更点を2,3点答えさせたり、下線部の内容を詳しく説明させたり・・・)する形になっていま す。大問ごとの問題傾向は次のとおりです。
☆第一問…近世まで
 社会経済史、文化史(特に学問・思想・教育について)や、農業・農民関係、商工業、貨幣経済などをテーマとした出題が多いで す。
☆第二問…幕末〜明治・大正期
 特に『寄生地主制』や『産業革命』関連が頻出です。外交史では日朝・日中関係について、政治史では大日本帝国憲法について 、文化史では思想・教育についての出題が多いです。近年では、グラフや史料を使った問題もしばしば見かけます。
☆第三問…昭和期
 十五年戦争期・戦後における経済史や外交史、政治史についての出題が多いです。
 時に第二問と第三問は同時期の問題が出題されることもあり、近代・近現代を重視する傾向があります。社会経済分野はどの時 代でも頻出です。
 問題のレベルは他大学と比べると高いと思われます。難問・奇問が出題されることもありますが、そのような問題を解ける人は 少なく、差がつきにくいものです。教科書の内容をきちんと理解していれば合格点を取ることが可能ですから、誰もが正解できる ような基本的な問題を間違えないように対策をしましょう。
 さらに、一橋大学の日本史では過去に出題された問題の類題が出題されることがしばしばあります。

対策

T.通史
 受験生の中には、まだ通史が終わっていない人も多くいることでしょう。そんな人はできるだけ早めに通史を終わらせましょう 。教科書を読んで流れを把握するだけでも違いますし、センター試験対策にもなります。

U.論述を解く練習
 論述問題は、重要語句を覚えるだけでは太刀打ちできません。解答に、求められている要素をいかにもれなく盛り込むかがカギ となるため、“慣れ”が必要です。過去問を含め、多くの論述問題を解くとよいでしょう。
 問題を解く際、まず、問題が何を聞いているのかをきちんと理解することが大切です。そして、書くべき内容をメモ程度に書き 出していき、それを文章化します。最初のうちは、ある程度自分で考えても書くべきことが頭に浮かばないようなら、ちょくちょ く教科書や資料集を見ながらでもよいと思います。ただし、本番ではもちろん何も見ずに解答するわけですから、考えることをせ ずに最初から教科書等に頼るのはいけません。考える練習をしましょう。
 自分で作った答案は、必ず第三者(学校や塾の先生)に添削してもらいましょう。自分では気づかなかった細かいミスまで指導し てもらえます。また、模範解答と自分の答えを比べてみることも大切です。赤本や青本は過去問題集として有名ですが、赤本と青 本では出版社が異なるため、模範解答に盛り込まれている内容や表現の仕方が異なっていることがあります。これは解説について も同じです。解説にもきちんと目を通して理解を深めましょう。過去問の類題が出題されるとき、その過去問の解説に書かれてい る内容が出題される可能性も十分あります。解説を読むだけではなかなか頭に入らないようなら、解説の内容を軽く自分でノート などにまとめてみるのも一つの手です。ノートにまとめておけば本番直前の最終確認にも活用できます。解説まで確認し終わった ら、自分が一番頼りにしている参考書や教科書に書かれている、問題に関連する箇所を読んでおくとさらにいいでしょう。

V.過去問の研究
 先にも述べたように、過去問の類題が出題されることがあるのが一橋の日本史の特徴です。過去問10年分くらいに一度目を通し ておくことをお勧めします。

W.模試の活用
 大手予備校の一橋オープン模試は受験しましたか?そして模試の復習はやりましたか?『返ってきてからやればいいやー』なん て思っていませんか?模試は@受けた直後、A返却された直後、Bセンター試験の後の最低3回やり直すべきです。一橋模試はど れも予想問題のようなものです。模試とそっくりな問題が本番で出題されたりしたら、模試の復習をやった人とやらなかった人と の差は大きいですよね。

おすすめ参考書

「詳説日本史」(山川出版)
 教科書です。暇さえあれば読む習慣をつけましょう。基本中の基本しか書かれていませんが、入試問題のほとんどはここから出 るわけですし、教科書の内容は隅から隅まで(もちろん脚注も)頭にいれておきたいものです。もう一度読み返してみると、今まで 忘れていた、あるいは読み飛ばしていた細かい知識を得ることができるでしょう。特に頻出分野のページは教科書の文章を暗記す るくらい何度も読み込んでおくといいでしょう。

「実戦模試演習 一橋大学への地理歴史」(駿台文庫)
 駿台主催の一橋模試の過去問3年分が掲載されている問題集です。一橋の過去問と同じやり方で解いてみましょう。

「つかはらの日本史工房」
 webサイトです。過去問(模範解答、解説付き)が、なんと30年分掲載されています。時間と労力が膨大にかかるので全部解く必 要はありませんが、傾向をつかんだり、一橋ならではの論述形式に慣れたりするのにはもってこいです。また、何度も述べている ように、一橋の日本史では過去問の類題が出題されることがあるので過去問は軽視できません。

最後にひとこと

 入試本番が近づいてきましたね。模試の判定を見て一喜一憂していませんか?『模試の結果=入試の結果』ではありません。 E判定でも私みたいに合格できる人もいるし、A判定でも不合格になる人もいます。合否なんて最後の最後まで分からないものです 。あなたが『どうしよう』と落ち込んでいる間にも、あなたのライバルは頑張っていますよ。途中で投げ出したくなる時もあると 思いますが、自分をずっと応援してくれている人たちがいることを忘れないでください。精一杯やってきた自分に自信を持って、 ぎりぎりまで粘りましょう。最後まであきらめないで!!!

〇この記事を書いたのは・・・
みかりん(経済・公立・女。受験に必要なものは『最後まであきらめずに自分を信じ ること』)