一橋国語
傾向
大問3題で構成。時間は100分。主に、大問1は評論文か随筆や小説、大問2は文語文(漢文訓読調的な文章)か現古(漢)
融合文、大問3は要約。この傾向はほぼ毎年変わらないのでこれからも大きな変化はないでしょう。大問ごとに詳しい傾向を書い
ていきます。
○大問1
文章量が少なく比較的読みやすいごく一般的な評論文か随筆や小説が出題されることが多いです。問は大きく次の5種類に分け
られます。
@ 漢字書き取り…毎年必ず出題されており、最近は10題が定番となっています。数は多いですが、それ
程難しい漢字が出題されるわけではありません。
A 語句の意味説明…これは毎年出題されるわけではありませんが、難しい語句を含む部分に下線を引き、
「〜とはどういうことか説明せよ。」というように訊かれる場合もあるので出題頻度は高いといえます。漢字と同様そこまで難し
い語句が訊かれることはありませんが、普段使わないような意表をついた問題が出ることもあります。
B 内容説明記述…「〜とはどういうことか説明せよ。」と訊かれたりします。訊かれる内容は幅広く、
よくある問題です。ただ一橋国語の大きな特徴は制限字数が非常に短いことであり、制限字数内できっちり訊かれたことを答える
のはかなり難しいです。
C 理由説明記述…「なぜ〜と言えるのか、その理由を答えよ。」と訊かれたりします。これもよくある
問題ですが、Cと同様,制限字数との戦いということになります。
D 選択肢問題…この出題頻度はあまり高くありません。さらにBやCのような問題の答えを選択肢にし
ているだけで、難易度はそれ程高くありません。
○大問2
毎年文語文か現古融合文が出題されます。ただし今年は古文が出題されました。古文といっても文章的にはそれ程難しいものでは
なかったのであまり気にする必要はないと思います。文語文と現古融合文の二つに分けて傾向を詳しく書きます。
@ 文語文…主に明治以降の文章で、内容は政治思想や学問についてのものが多いです。漢文訓読調であり
、慣れるまでは多少読みにくいでしょうが、慣れれば内容は単純で問も大問1とあまり変わらないので、それ程難しくはありませ
ん。
A 現古(漢)融合文…古文や漢文が引用された評論や随筆で、前近代の思想や文化についてのものが多い
です。大問1のような問の他、引用部分の解釈を問う古文や漢文についての問も出題されますが、これも慣れれば難易度はそれ程
高くありません。
○大問3
毎年変わらず要約問題であり、かつては条件付きの要約や250字の要約が出題されたこともありますが、最近は条件なしの200字
要約で定着しているようです。文章量は他の2問と比べてそこそこ多めで、内容はかなり幅広いものとなっています。
対策
一橋の国語は特殊な問題ですが、難易度はそれ程高くありません。現代文と古文、漢文をそれぞれ週1題ずつくらい解いてい
き、直前期に過去問を10年分もやればかなりできるようになると思います。大事なことは満点を取ろうとするのではなく1点でも多
く取ろうと地道に努力することです。それでは大問ごとに対策を書いていきます。
○大問1
評論文でも随筆でも小説でも対策は大きく変わりません。文章の構成をしっかりと把握したうえで、問の答えとなるポイントを一
つずつ拾っていくことです。ここでは傾向で分けた5つの種類の問ごとに対策を書いていきます。
@ 漢字書き取り
漢字の書き取りが苦手なら問題集をやりましょう。そこそこできるならば問題集など
はやらず、文章中に出てきた漢字を確認していく程度でいいでしょう。大事なのはなるべく漢字対策に時間をかけないことと、10問
中8問以上は必ずとれるようにすることです。
A 語句の意味説明
文章中にでてきたわからない意味の語句を辞書などで調べることを日頃からやっておけばそれで十分でしょう。
B 内容説明記述
「〜ということ。」と答えるのが一番いいですが、一橋国語の大きな特徴として制限字数が非常に短いということがあるので、内
容だけをビシッと答えて最後に「こと」などをつけずに終りにするのもありだと思います。短い制限字数内におさめるためには、そ
の問の答えとなる一番のポイントを見つけ出し、そこを核として問の答えとは少しでもずれる部分は(たとえそこが文章全体で重要
なポイントであったとしても)省き、さらにその核の部分を自分の言葉で簡潔に言い換えて文章をつくることを心がける必要があり
ます。また、問題演習の際には、自分で作った答案を学校や予備校の先生などに添削してもらうのが望ましいでしょう。
C 理由説明記述
「〜から。」と答えるべきです。下線部の言い換えをするのではなく理由をきかれているのだから、「から」がなかったら答えに
なりません。字数がきつくてもそこをけずるべきではありません。短い制限字数内にいれるやり方はBと同じです。これも第三者に
添削してもらうことが望ましいでしょう。
D 選択肢問題
BとCができていれば問題になりません。同じやり方で十分でしょう。
○大問2
問題集などはほぼ存在しないので、センター古典の勉強をすることと過去問をひたすら解くことが最大の対策です。文語文は同じ
ことが何度も繰り返されていて非常に読みにくいですが、それに慣れるためには音読するのがいいと思います。英語と同じことです
。また、明治期の思想や時代背景などを知っておくといいかもしれません。とりあえずセンター古典で9割以上とれる実力をつけ、
過去問をしっかり解けば大問2は問題なくできるようになると思います。特殊な問題ですが、そこまで心配する必要はないでしょう
。
○大問3
要約問題を解くうえで最も重要なことは、本文の構造を完璧につかむことです。構造を図にしてしまうのがお勧めです。例えば二
項対立や並列、起承転結などなど。これらをつかんでしまえばあとは重要なポイントを拾い上げていき、それらを各ポイントの関係
性に注意しながら文章化していけばいいだけです。この作業をやるにあたって注意するべきことは、文章の流れ通りにまとめる必要
はないということです。各ポイントが文章の初めから終わりにむかって一方向の関係性を保っているわけがありません。あくまでポ
イントの相互関係に注意して文章を大きな視点でまとめなおすことが重要なのです。まあ簡単そうに書きましたが、これは非常に難
しい作業です。ただ、練習すれば誰にでもできるようになります。過去問を解いて模範解答と自分の答えを照らし合わせ、ポイント
の有無やその関連性、そして文章の大枠を確認するということを続けていくことが大事です。また、これも第三者に添削してもらう
とより良いでしょう。要約というのは、本文を読んでいない人に本文の内容を簡潔に伝えることですから。
おすすめ参考書
・「得点奪取現代文」(河合出版)
大問1と3の対策に有効。解説が丁寧で、文章構造が図示されています。さらに答えに必要なポイントが明記されているので自己
採点が可能です。一人では勉強しにくい現代文のすばらしい問題集だと思うので、現代文が苦手なら少しずつでもやってみたらどう
でしょうか?
・「入試漢字マスター1800」(河合出版)
大問1の@対策。漢字が苦手ならやってみてもいいのではないでしょうか。
・過去問
何度も書きましたが一橋国語は特殊な問題です。過去問を解くことがどんな参考書をやることよりはるかに有用です。赤本や青本
の答えを比較して解答や文章の構造をよく吟味してみることが重要です。
最後にひとこと
一橋国語はそれ程難しい問題ではありません。秋からでも間に合います。センター対策と過去問対策をしっかりやって1点で
も多くとろうと努力してください。国語は配点が低いからといって対策しないと、1点を争う一橋入試では痛い目をみますよ。自分
の現状をよく把握したうえで、最低限の時間で最大限の効果を生むような勉強を心がけて最後まで精一杯頑張ってください。
○この記事を書いたのは…
ざわ(商・私立・男・受験に必要なものは「努力」。何事も努力あるのみ!!!)